2015年 02月 11日
酒の会
昨秋参加した、日本酒セミナーの縁で
草津本陣近く、木波屋雑穀堂さんのお招きを受け
立春(2/4)の早朝に搾り上った生酒を頂くという「酒の会」
素敵過ぎました~
なんと形容したらよいのかわからない異次元の時間!
築100年の古民家をキレイに、センスよく改装し
ほわんとしたライティング効果もよく
ほどよいアンティークな調度品、粗い木目のテーブル
ライティングされたプチ日本庭園に面した席の配置
また和装の女将さんが恰好よくてー
背筋キチンと伸ばして、シャキっとした言葉遣いが
強さと安心感を与える感じ
まったりお豆腐、味付けは塩のみ
食事前の余興は、素人噺家 九冊八帰帆さんの落語
目の前で、落語を聞いたのは人生初めて
江戸末期の関取5人が、現生で殺人事件を起こすという
タイムスリップした謎めいたお話
異次元の空間で聞くには、ぴったりなお話
子どもの頃の紙芝居やお話会のような
ストーリーテリング
別世界に行ったような遠い記憶
映像文化より、ずっと深く心に残る感じ
それは、耳から聞いた物語を頭の中で映像化する
self-filmmakingしているからだろうか
その昔、父母、祖母から聞いた、不思議な昔話
口伝いの物語は、五感に刻まれ
その記憶と感覚は一生もの
なんともいい歯ごたえのする新鮮なお造り
ところで、生酒のお味はというと
言葉には表せない美味しさ~
ソムリエの方なら、きっと色んな表現するでしょうけれど
日本酒の奥深さを体を通して感じるばかりで
お料理にせよ、体を通さないと味というのは
わからない(当たり前か!)
しかし、普段私たちは情報に流され
あらゆる先入観を持ち
頭で全てのものを裁こうとし
感覚というものを置き去りにしがち
本当に美味しいものは、その感覚を目覚めさせてくれるような
眠っている体の感覚が甦る感じ
近江八幡の赤蒟蒻、鮎の南蛮漬け、地鶏の肝煮
まったり豆腐から始まり、お造り、鮎の南蛮漬けと
ゆっくりと日本酒を味わいながら
少しづつ、お料理を口に運ぶ
こんな贅沢な時間が許されていいのだろうかと
古民家風の雰囲気に心が和み
和風のシンプルなしつらえがまた心を鎮める
食事というものは
時間と空間とともに、ゆっくりと頂くもの
菜の花と湯葉の餡かけ
器もお料理を演出する大切なもの
素材の色、テクスチャー、盛り付けなど
お料理に合わせて丁寧に選ばれている
器やお皿は、信楽焼き
茶器を楽しむように、器を眺めるのも好きだ
どんな土から、どんな人が、どんな思いをこめて練り上げ
時間をかけて焼き、どう絵付けをし
どんなルートを経て、このお店に辿りついたのか
その長いプロセスの果てに、今ここにお料理と出会う
蓮根の挟み揚げ
照りがよく効いた甘辛いたれが食欲をそそり
たっぷりと挟んだつくねがボリュームあり
ごまドレッシングで和えた水菜のサラダがあっさりと
揚げものを中和するかのようで
サイドながら、存在意義は大
さつま芋と椎茸の天麩羅
今回は夫と久しぶりのお食事
彼は、今だ「質より量」で、食べ盛りの若者並の食欲旺盛
ゆっくりと食事を楽しむより
ビュッフェスタイルの食べ放題大好き派
しかし何故か、今回の誘いにはすんなりと応じてくれ
それなりに楽しんでいる様子
しかし、お上品なお料理は物足りないらしく
帰りにひとり、ラーメン屋に立ち寄っていた(/・ω・)/
酒粕汁&とろろごはん
木波屋雑穀堂さんは、とろろ芋を使ったお料理が名物らしく
雑穀米にたっぷりのとろろ芋を和えたご飯が最後を締めくくる
薄味のダシのみの味付けで
とろろ芋の美味しさをシンプルに味わえる
調味料に頼らない、素材をそのまま頂くことで
より感性が磨かれる感じ
酒粕汁も、質のいい酒粕を選ばれているのか
なんとも言えない味わい深いもの
料理は何と言っても素材
味付けはあくまで引き立て役
そんな優先順位を確認出来たかのようなお料理の組み合わせ
新しいものを作るより
古いものを再生させ、現代と融合させる方がずっと手間暇かかり
工夫が必要だろう
スタイリュシュなピカピカのカフェもいいけれど
大正ロマンにタイムスリップしたような
懐かしい和の空間が今も大切にされていることに
安堵感を覚える
時代の流れは早く、時代の波に遅れまいと
先読み、先取りにやっきになり
「今」という時間を楽しむ余裕がない
昔の空間は、まったりと「今」という時に浸らせてくれる
手間暇かけて作るお料理、お酒、器、お話
すべて時間と心なしにして出来るものではない
贅沢な時間をプレゼントされたことに
心から感謝♡